「The Last of Us Part II」クリアしましたについて

クリアしました。面白かったです。ゾンビもの+対人もの。主にステルスで進んでいくゲームです。前作も面白かったので今作もやりました。ストーリーがよかったです。たぶん賛否ある。

 

前作は、最終的に世界を救うかこの子を救うかになって、よくあるパターンでこの子を救いましたで、話が終了。今回はそれからどうなったの?って感じ。今作は前作の主人公のパートナーが主人公になってます。

今回は主に復讐がテーマ。復讐と言えば、復讐相手を殺すか殺さないかのパターンくらいしかないんで話的には単純なものなんですが、細部の力の入れようがすごかったです。主人公が復讐相手を追い詰めいる間、相手が何していたのか。復讐相手を操作して見ていくことができます。なのでダブル主人公です。主人公の話の流れは単純なもので、人間関係が絡みますが、基本的に復讐をがんばります。復讐相手は少し複雑で、集団に属しているんですが、別の集団との抗争と仲間内の人間関係問題が絡みます。もっと詳しく言うと、前作の段階で復讐相手は別の集団に属していたんですが、主人公たちのおかげで集団は離散。今作の集団には改めて加入してたという形です。

プレイヤーはどちらに感情移入するんでしょうね。個人的にはどちらかというと復讐相手に感情移入していました。復讐相手の方が感情が複雑に動いてるからでしょうか。主人公の心の動きに私がついていけなかったからという可能性もありますが。

残虐さはありました。主人公も復讐相手も両方とも。もともと復讐相手が復讐したから、主人公は復讐をがんばってるので、両方とも似たようなものなんですよね。ゲームとしてこれをプレイさせるのはすごいと思いました。映画だったら、見るだけですから。ゲームは操作しないといけないですからね。どちらのキャラクターにも愛想を尽かせたら、途中でやめる人もいるんじゃないですかね。どちらの信条に賛同できない人なんていくらでもいるんだろうなと、プレイしてて思いました。復讐物の話は、細部を切り落としてシンプルにしたものが世に送り出されており、今作はその細部を落とさずに描きましたって感じです。なのでプレイ時間結構長い気がしました。

 

ストーリではなくゲームプレイ部分ですが、わりと単純。武器と装備が結構あるんですが、基本的にステルスキルなので装備が減らない。銃弾なども潤沢に落ちてるのでバンバンに撃っても困らないのかなと思います。あと敵の視野がとても狭く、視力も悪いし頭も悪いので、ステルスキルが入れ食い状態になってました。待っていれば敵が来る。

ゾンビとか敵を気持ちよく倒したいならバイオとかサイコブレイクをした方がいいです。

 

PS5楽しみですね。

 

 

 

 

「小説読もうかな?」について

最後に読んだ小説は梨木香歩の「海うそ」を去年の10月に読んだきりです。本読むって言っても専門書とかが多くて、小説はからっきしになってます。専門書は書いてある内容がある程度わかってる前提で買いますし、知りたいことがなくならない限り読みたい欲はなくならないんですが、小説はなかなか違いますね。当たり外れありますし、新しい作家に手を出そうと思っても好みじゃなかったらなと思い手を引っ込めます。既知の作家でも作品が漫画のように頻繁に出るわけでもないですし。娯楽なので、他の娯楽との時間の取り合いになって小説は負けてます。時間負荷が高いんですよね。

最近アマゾンでよく読んでた作家を検索してみたら、けっこうな数が刊行されていました。森見登美彦の「夜行」が面白そうだったので、買おうかなと思います。

 

自分が思う小説特有の面白さって何でしょうかね。映画だったら映像作品なので、個人的にこの映画のここが好きっていうのが言いやすいです。漫画も絵柄やキャラとかわかりやすい指標があるんですが。物語と全てをひとくくりにすると、共通するところは何でしょうね。ストーリーがあって、キャラクターがいてとかですかね。小説特有の面白さ、作家特有の文体でしょうか。文字でしか表現できない物語や設定でしょうか。「海うそ」はよかったです。島の空気というか、湿気が頭の中で思い起こされるようでした。でも、他人が読んでも僕と同じ想像はしないんでしょうね。ここが今のところ個人的に考えてる小説特有の面白さでしょうかね。個人個人で想像に幅があっていいね、ということではなく、その想像は個人にとって最良な情景が思い浮かべられているってことです。とりあえずのところ、これです。

「大変だなこりゃ」「大変な時の楽しさ」について

コロナがお仕事に大変影響してます。今いるとこの経営とかも悪い悪い悪いという状況ですが、個人的にはなぜかそれは気にしてなく、何が気になるのかというと他の社員の精神衛生が気になります。精神障害者に接する仕事で、現在それは停止されていて社員のみがいる状況。隣の事業所は普段通り運営され障害者の方と社員がいる状況。隣はいつも通り+社員は最低限で回す。こんな状況。

ここからは個人的な見立てになるんですが。宣言が出されて10日経ちますが、予想以上に他の社員が疲弊しているんですね。障害者の利用がストップしてますが、事業自体は止まってないので大変大変。他の業務も通常で。年間のスケジュールも変更。モチベーションは上がらない。社員の中には家族から今行かないといけないのかと言われる人も。隣は隣で障害者の方の行動も制限しないといけないので、雰囲気がいつもより悪化。隣の事業所にもヘルプに行かなくてはいかない段階になってきて、障害者と社員どっちが先に潰れるかなという状況に来ているのかなというのが個人的な所感。+以前1人辞めており、増員までの間隙にいるので人も足りない。悪い悪い悪いのがタイミング的に積み重なっているんですね。

僕は当初楽観視しており、GW開けたら通常運営かな?なんて思ってたんですが、昨日今日の状況見てたらこりゃ伸びるなぁ。で、GWまで乗り切れないぞってなりました。

こりゃやべぇぞって思っている社員はいたので、その方々と一緒に上と相談して、なんとかなりそうです。やったね。

 

他の会社のこと聞いてると、命をとるか仕事をとるかで命をとって仕事辞める人もいるみたいですね。ここからは気持ちの問題。話し合ってて、コロナについてなんですけど、どれだけ心配してるかはすごく個人差があるってのが実感されました。遠くから通ってる人と近くから通っている人でも意識の差がある。おいおいそれは過剰だよ、とは言えないんですよね。実際問題精神的に影響が出ている。そして、これは過敏すぎると本人も思ってるんですが、高齢の家族に移したら、同居人が高齢者と接する仕事に携わっているので自分がかかったらそっちに影響があるなど、間接的な影響等が積み重なって、心の中で溜まって溜まってギリギリになっているなどがありました。

 

取り合えずGWは乗り切れるかなって感じですが、これが続くとどうなるかな。また別の対処法を考えないといけないですね。

 

ここからは個人的な癖です。

超大変な状況ですが、超楽しい~。不謹慎で頭がおかしいと思われるかもしれないですが、盛り上がってきたなって感じがしてとても嬉しい。最初の会社では腐乱死体を一緒にやってくれと深夜電話が来て起こされたとき、次の会社では大事故ですぐに保守に行ってくれとなった時が主に該当します。仕事で大変な状況や単純に忙しくなってくるとつい楽しくなってきちゃう。何すればいいかを頭の中で段取りして、その通りにテキパキするのが快感。忙しさを崩して、それを平常に戻すのが好きなんですかね。今すごく楽しくてキタキタキター!って感じです。

 

 

「ミッドサマー」観ましたについて

ミッドサマー観てきました。おもしろかったです。劇場を出た観客はみんな笑顔でした。よかったね。

映像がきれいですし、統一した服装とかコミューンとか個人的に好きなんです。白夜の祭りミッドサマーを9日間行うコミューンに、若者が訪れるという物語です。白夜というシチュエーションなので、画面が全体的に明るく、開放的な雰囲気でよかったです。

映画的にはスプラッターです。画面が明るいのでけっこう鮮明ですが、効果音とかでむやみにおどろおどろしくしてないですし、ビックリさせるようなシーンはありませんでした。このコミューンではこれが当たり前だよという感じで写されます。外から来た若者からしたらたまったものではないですが。個人的に受けた視覚的な情報はこんな感じですかね。

 

映像はきれいですが、音の効果で主人公の感情に移入というか、かなり感情がダイレクトに伝わってくるのが苦しかったです。特に冒頭、主人公がむせび泣いているシーンにかぶさっている楽器の音。この映画けっこう音や声を合わせてくるんですよね。息が合うと気持ちいいですよね。楽器の演奏や、共同作業中など相手と呼吸が合いテンポよくリズムや動作が合うと高揚してきます。それをなんだか、プラスとマイナスの方向両方に合わせてきました。観ていると登場人物の感情が増幅されているようで不快なシーンはより不快に、心地よいシーンはより心地よくなりました。

外部からコミューンに訪れた主人公以外の登場人物は全員死んでしまいますが、彼女はすごい体験をして、最終的には気持ちよかったんだろうなと思います。彼女は、妹が家族と心中してしまい失意の内にいました。そのことに彼氏もなんだか共感してくれません。周りに合わせるというか、追いすがるような彼女でした。彼女は祭りの儀式に一緒に参加して、久しく感じていなかった一体感を得たんでしょうね。また、彼女が泣き喚いたときに複数の女性がともに泣いてくれていました。ここでも息を合わせて泣いてました。自分の感情に共感してくれて受け止めてくれる場や人がいると気持ちいいんだろうなと思い見てました。青い空と太陽の光の下で過ごすのも気持ちよさそうでした。

最終的に彼女は自分の意思で選択肢を選びますので、すごい成長ですね。

 

個人的なことなのですが、主人公が自殺した母親と被るところがあって、そこはめちゃくちゃ不快でした。

 

こういう映画は滅多に観られないので、劇場で観てよかったです。

 

 

「徒歩と電車が主になる」について

大阪で暮らしています。大学の同期が依然日本橋近くに住んでて、それによるとだいぶ暮らしにくいようなこと言ってたので恐ろしかったのですが、全然そんなことなかったです。考えてみれば同期は繁華街のすぐ裏に住んでたんですよね。そら遊ぶにはいいが、暮らしにくいのは自明じゃん。僕は住宅街に部屋借りているのでとても暮らしやすい環境です。日が当たらないので一日中暗いのを除けばパーフェクトでしょう。といっても部屋探しも凝ったことはしなかったです。リストアップはしましたが、内観は1つしかしてないです。職場にも駅にもスーパーにも近かったら言うことないねって決めました。エアコン新しくしてくれたのでとっても嬉しかったです。優しいね。

車は売りました。なので徒歩です。マンションの前には自転車が置いてありますが、個人的には必要ないなと思ってます。駅まで10分、スーパー2分です。駅に行ってしまったらもう電車ですからね。

あと、自転車は音楽が聴けないから嫌いということがあります。他にも嫌いな理由はありますが。徒歩はいろいろ考えながら音楽聞けますし、電車も音もれしなかったら大丈夫。音楽聞くの好きなんです。車の時は音楽は毎回かけてました。音楽聞くためにスピーカーいいのにして、電源出力が必要って言うのでそれもオプション追加しましたし。結局1年半で手放しましたけど。つけててよかったです。

大阪って便利ですね。京都まで30分あれば行けるのは驚きました。前も京都ー大阪は往復したことはあるんですが、所要時間は覚えてなかったです。車よりも簡単に行動できるじゃないかってことで、いろいろぶらぶらしてます。個人的に車はストレスがかかるんです。高速で移動するモノを制御するための精神的負担、他の車に注意を払う、知らない道で不安、など。気を使いすぎているんじゃないかと思われるかもしれませんが、気を使ってしまうのでストレスが高い乗り物でした。はじめて通る道、これは果たして行き止まりではないかという恐怖。

徒歩だと簡単に引き返せますし、電車は行き先が決まってるので楽ですね。通勤に電車は嫌ですが。疲れてるとき、停まった時の代替ルートを考えるのがめんどくさすぎる。

 

音楽が好きって言ったんですが、spotifyのプレミアムに加入しました。ネットフリックスは解約しました。映画も好きですが、現在は1週間に1回見れるような時間が取れないので、音楽にしました。音楽好きですし、音楽は聴きながら他のことができるのでいいですね。ウエラブルスピーカーを買ったので、家ではどこでもつけてます。料理しながら聞けるのはいいです。生活の環境が劇的によくなってます。家はもうサンクチュアリ

 

無職の時代が終わり、まだ最初の給料日は先ですが、さっそく自由にしてます。実家はもう人が入りました。終わりました。全部終わらせたのですっきりしているので、こう自由にしているのでしょう。新しい仕事について大変だと思うのですが、それよりも気が清々しく、辛くないです。不安がないです。今までこんなことがあったでしょうか。頭の中で様々なイメージがぐるぐる回り、考えていることを邪魔することが無くなりました。辛くないというのはこういうことを言うんでしょう。素晴らしいです。

 

 

 

 

 

 

 

「英雄旅譚メーカーでつくった話」について

英雄旅譚メーカーというものを使い話をよろしくと声をかけてもらったので、書きました。まとまった文章をネットにあげる場所、ここにしかつくってないので、ここにコピペしたものを貼ります。以下、お話です。

 

 

0.ジェネレーター内容

あなたは < ヒステリックな偏見や高慢 > の下で日常を送っていました。そこである死体に出会います。焼死体。焼かれて砕けた骨だけ残る。泣き女が欠片を集め、百の薬草と混ぜ合わせ不死の薬を煎じた。永遠の命を求めて権力者達が奪い合う。

 その時 < 誘惑と堕落 > が起こり、その結果、あなたは < 見通しが暗い状況 > を体験する。

 その後、あなたは < 節度と調和した恵み > のために、非日常に誘われるが、あなたは < 父性に基づく秩序や寛大さ > の行動によって、その誘いを拒みます。

 そんなあなたの前に < 度を越えた贅沢、我儘、嫉妬 > が起こり、案内人:《道化師》が現れます。

 その者があなたに < 不公平、一方的な裁定 > をもたらすことであなたは旅立ちを余儀なくされます。

 いよいよ非日常への境界へ向かう途中に < 完成、実現、大きな計画 > が起こります。

 そしてあなたの前にゲートキーパー:《探索者》が立ちはだかる。

 その者とあなたの間には < 不運や裏目 > が生じ、その結果あなたは境界を越えてゆく。

非日常に踏み込んだあなたには < 事故や災難 > < 自己犠牲、苦悩を超越した努力 > < 前進する勇気と勝利 > の試練が待っているが、

 仲間1:《英雄》と仲間2:《支配者》の助けによってそれを乗り越える。

 そして、ついにあなたは最終目標を見定めます。

 そこでは < 高望みによる失敗 > が起こります。

 その深奥にはラスボス:《創造者》が待ち構えてます。

 あなたは《英雄》の < 度を越えた贅沢、我儘、嫉妬 > と《支配者》の < 熟練の技術や研究の追求 > によって、最後の敵を打ち破ります。

 冒険を終えたあなたは < 傲慢な支配 > についての報酬を得て、日常へと帰還する。思い返せば、その死体はとても綺麗な死体だった

 

 

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「神々の世界」

  1. ことのはじまり

一人の神が、ほかの神々を支配していた。一人の神は世界をつくり、その下でほかの神々は暮らしていた。神々はその世界で自らの世界を作り出し、その自ら作り上げた世界に人間を作り、人間はそこで暮らしていた。神々は常に争っていた。自分の作り出した世界が一番いいものだと他の神に自慢しあい、人間は世界を美しくするために酷使された。一人の神もまた、度を越して傲慢であった。神々への支配を強めたら、神々はさらに人間の支配を強くした。そうして長い時間を生きていた。

だが、あるときに神々のうちの一人が死んだ。神々の争いのうちに、誤って焚火を踏んづけてしまい、瞬く間に体は火に包まれた。焼け死んだ神の骨は見たことのない様々な色の石に変わった。そして、死んだ神のもとで支配されていた人間には混乱が訪れた。

神々は死んだ神が変化した石を奪いあった。石は永遠を神に指し示し、永遠を約束しようと言った。永遠を手に入れた神々は安心しきって、世界を作ることをとめてしまった。一人の神もそうであったため、人間は神々の支配を逃れた。

次に起こったのは人間の争いであった。神々の世界を抜け出し、他の世界へ侵略するようになった。人間が人間を殺し、世界を奪い合った。だが、神々は意に介さなかった。

あるとき、人間の男が空を見上げると、神々の暮らしが目に入った。永遠を石に約束された神々の暮らしは豊かであった。その世界だけ、すべてがあった。そこに、流れ星が落ちてきた。流れ星は言う。

「お前は神々がうらやましくないのか。勝手に人間を支配していたと思ったら急にやめ、争いを止めようともしない。俺はうらやましい。神々をこの世界に落としてやりたいくらいだ」

男は返す。

「ああ、うらやましい」

流れ星はこう返した。

「だったら、神々に目にものみせたくないかい」

流れ星の誘いに、男はこう返す。

「だが、俺には無理だ。なぜならば家族がいる。家族を置いて、どうしてこの世界を離れられるだろうか」 

流れ星はこう言う。

「俺は死んだ神の小指の骨だ。俺は悔しくて悔しくてたまらない。俺は小さすぎて、石になれなかったんだ。協力すれば、神々が持っている石を、人間のもとに渡してやろう。俺なら石たちと交渉できる」

男は同情と石の魅力に負け、小指の骨とともに旅に出ることにした。

 

 

 

  1. 神々の世界へ

 男と小指の骨は、世界の門へとたどり着いた。そこで、巡礼者に出会った。巡礼者は世界をめぐり、世界をその目で確かめることを信仰としていた。巡礼者は男と小指に声をかけた。

「なあ、俺は世界を巡っているんだが、お前たちはどこに行くんだ」

男が答えた。

「俺は神々の世界に行くんだ」

巡礼者は驚き

「それは本当か、俺はまだ神々の世界に行ったことはないんだ。他の誰かが行ったという話も聞いたことがない。俺も連れて行ってくれ」

男は戸惑いながら言う

「いや、俺はただ単に神々の世界に行こうと思うんじゃない。神々のあの石を奪おうと思っているんだ」

巡礼者はさらに驚いた様子で

「なんだと。それは本当か。そんなことができるとは到底思えない。そもそも、どうやって行こうと思っているんだ。神々の世界に到達したとして、神々の傲慢さは知っているだろう。簡単に奪えると思っているのか」

小指の骨は巡礼者の疑問にこう答えた。

「だから俺がいるんだ。俺なら石たちは応えてくれるだう」

巡礼者は納得した様子で

「ほお、お前は神の骨か。俺はそんな危ない橋はわたれない。神々の世界についていくことはやめたよ。期待しているよ」

そんな言葉を投げかけながら、巡礼者は町へと続く道に戻り、歩いて行った。そして男と小指の骨は巡礼者とは逆の方向へと歩み始めた。

 

 

  1. 神々の世界

さて、神々の世界に足を踏み入れた男と小指の骨は、洞窟の前にたどり着いた。そこには神々の内の一人がいた。神はこう話しかけてきた。

「なんでこんなところに人間がいるんだ。さっさともとの世界に帰るんだな」

男はこう嘘をついた。

「そうもいかないんだ。どうやら俺のいた世界がなくなってしまった。気が付いた時にはここにいたから、帰り方がわからない」

神は言った

「そうなのかそれなら、こっちの方向ではない。引き返すんだな」

男はこうこたえた

「その洞窟はどこにつながっているんだい」

神はこたえた

「この洞窟は一人の神のもとへと繋がっている。お前には関係ないことだ。さっさと立ち去るんだ」

男は言った

「神々の世界に入るなんて、滅多にないことだ。ぜひとも一人の神のもとへと行って見たいんだが」

神は言った

「たかが一人の人間の願いをきくことなどできるわけがない。さっさと立ち去るんだ」

男は言った

「どうしてもだめなのか」

神は言った

「どうしてもだ。さっさと立ち去るんだ」

そこで小指の骨が男の懐から声色を変えてこう言った。

「なんだ、矮小な一人の人間のいうことくらい、一度くらいなら聞いてもいいだろう。お前はそこからどいて、その人間を通せ」

その声は一人の神の声だったので、神は驚いた。

「なんということだ。一人の神が言うことならしかたがない。俺はここをどくとしよう」

こうして無事に男は洞窟へと入ることができた。

 男が洞窟に入り、しばらく進むと懐から小指の骨をとりだした。それは小指の骨から木でできた横笛に変わっていた。横笛は言う。

「この横笛は一人の神がいつも吹いていた笛だ。だから、一人の神の声が使えたのだ」

男は聞いた。

「だが、どうして姿を変えることができたんだ」

横笛は答えた

「俺は手の一部だった。この手でいろんなものを創り出してきたんだ。そのものに成ることなぞ、当然のことさ」

男と横笛は、どんどん洞窟へと進んでいった。進んでいくと、大きな鉄の扉があった。そこには神が立っていた。

神は言った。

「この先は一人の神が住んでいる。この先には進ませない」

横笛は一人の神の声で言った。

「なんだ、矮小な一人の人間のいうことくらい、一度くらいなら聞いてもいいだろう。お前はそこからどいて、その人間を通せ」

神は言った。

「そんなことには騙されんぞ。どうやら人間一人だと思ったが、なにやらもうひとつ懐にいるようだな。そいつを出してみろ」

男は懐から横笛を出すと、それは杖に変わっていた。神は驚き言った。

「それは一人の神の杖じゃないか」

男は杖で一度、神を打ち据えた。

「ああ、やめてくれ、やめてくれ。そいつに打たれたら俺は消えてしまうだろう」

そうして神は逃げ出し、男と杖は扉を進めるようになった。

 男と杖は、一人の神が住んでいる居城に入り、石がしまってある部屋までついた。そこには一人の神は、様々な大きさの石の内、一番大きな石を持っていた。男が石をとろうとすると、石が叫び声をあげた。

「なんということだ。なぜ人間がこんなところにいるんだ」

その叫び声を聞き、一人の神が現れた。

「こんなところに人間がいるとは驚いた。その石をとろうと思うんだな。だが、ここは人間のいるところではない」

男は牢屋に入れられた。杖はその正体を見破られ、小指の骨に戻されてその部屋の隅に置かれてしまった。小指の骨は石に向かってこう言った。

「おい、かつて俺を支配していた頭蓋骨よ。どうしてお前はそんなつまらない石になってしまったんだ。そしていちばんつまらない一人の神のところへ置かれ、ただこんな狭い部屋の中で埃をかぶっている。かつてのお前は俺を使い、お前の思うままのものを創り出していた。体の一番高いところにあり、五感と思慮を司っていたお前はどうしてそんな姿になってしまったのか。今一度俺と一緒に来ないだろうか。俺と一緒に、人間の世界に行こうではないか」

石は震え、涙を流した。

「その声は俺の体で一番かわいらしい小指じゃないか。そんなお前がこんなところまでやってくるなんて、俺は嬉しくて恥ずかしい。俺は今、お前に勇気をもらった。今一度、お前と一緒に行こうではないか」

石は頭蓋骨へと変わり、小指の骨とともに、男が捕まっている牢屋へと向かった。小指と頭蓋骨は牢を開け、男を外に出した。小指は言った。

「俺の体を支配していた頭蓋骨がともに来てくれることになった。これで、石に変わったすべての骨を、お前のもとに集められるだろう」

男は右手に頭蓋骨を、左手に小指の骨を持ち、一人の神のもとへといった。一人の神は、男の姿を見て驚いた。

「なんということだ。それがあの石か。俺はそんな薄汚いものを大事に部屋の奥にしまっていたのか」

神の死をまじかに目にした一人の神は恐怖し、屋敷の奥へと隠れてしまった。

 こうして男はすべての石を骨に戻し、そして自分の世界へと戻っていった。頭蓋骨は人間の世界をその思慮により治め、人間の世界には平穏が訪れた。小指の骨は男の家で役に立っているという。

 

 

以上。

「写真的にモノや風景をみてしまう」「五感と社会につながりってあるの~?」について

なんか書きたくなって無理やり頭をひねり、最近気になっていることと自分の経験や思ったことを結び付けようと思いました。正直待機しなければならない時間が多く、さらには出費も抑えないといけない状況であるので何もできないんですね。ここでいう「何も」とは、外出して料理を食べることとゲームや漫画を買うことです。何ができるのかというと、PCと残してある本を読み返すことです。悶々としたフラストレーションを書くことで慰めようかなと、自分の体が思ったのでしょう。なので、書きたくなったという表現を最初にし、これから書きます。

 

写真を撮るときは何か構図がありますよね。Windows10を開いたら最初にきれいな風景が現れます。プロがとっているんでしょうね。奇麗だなと思いますし、何もしなくてもきれいな風景が見られるのでうれしいです。構図について何かを知っているわけではないです。ただ、何を見せたいか、という意図はどんな写真にも少なからずあるはずです。友人同士で撮った写真でもこの何を見せたいかという意図は存在するでしょう。プロではなくとも、たくさんの人に見てもらいたいと考えて撮られた写真なら先にあげた意図以外にも技術的なものが入り込んでいるでしょう。意識するしないに限らず写真を撮るうえでは無視できないものだと思います。たぶん、ネット上の些細な写真を100枚とか1000枚とか分析したらなにかしらの共通性が出てくるのでは?と思いますし、誰かがすでにやっているかもしれません。

で、自分の個人的なことについて書きます。最近風景を見るにしても写真的にしか見れなくなってるんじゃねえかって思い始めてきたんです。ネットで写真見過ぎて、今までどう風景を見てきたか忘れてしまったというか。写真って全体の一部を静的に切り取ったものじゃないですか。一番きれいな部分をどこか見極めて、そこを切り取って見せてくれる。視覚が重要視される。最近なんか、例えば建物を見るときに、全体性を把握できなくなってきたんですよね。自分の言う全体性っていうのは、建物の全景のことではなくて、建物が立っているその土地のことだったり、今同じ時間にそこを訪れている人たちのことだったり。前はこんなことに思いをはせて風景だったり建物を見れてたんですよね。それができなくなっている。ただただ視覚のみで見ることしかできない。ほんと最近のことですけどね。

もう少し抽象的に書いていくと、視覚的にしか物事をとらえなくなってる。頭だったり、ほかの感覚を使うことができなくなってきてるんじゃないかって思い始めてきたんです。さっき写真を例に挙げたけど、もしかしたら写真の見過ぎのせいじゃないかもしれない。ひきこもりがちになってきてるのが原因か?「写真的にしかみれない」という比喩は妥当にしても、原因が即写真ではないね。社会性がなくなってきてるからじゃないか?今視覚ばっかり使う生活してるので、ほかの感覚が鈍くなってるだけかもしれん。だったら仕事初めて社会性を回復させたら、戻るかもしれませんね。

 

ここまで書いて、五感と社会についてどう繋がりがあるのか、疑問が出てきたね。今回の文章はなんだか二転三転してますね。別に結末まで考えて書いてるわけではないので、いいんですが、文章を書き始めたら文章を終わらせないといけないということなので、これについては困ってます

五感は社会の影響を受けるのかどうか何て自分にはわかりませんが、感じた後の認識の部分は大変社会的なものだとは思います。判断だったりね。そもそも絵画を見るという視覚的な感覚と認識は社会的なものじゃないかって考えてるんですがね。パースって学習しないとわかんないじゃないですか。2次元の紙にこれは3次元として見てねという約束事が存在すると思ってます。この約束事が社会的なもので、それを学習した人間は視覚の使い方を変化させると思ってるんですね。なので、視覚という感覚と認識、社会は影響を与えてると思ってます。多分もっと詳しく考えてる人いるんじゃないか?知りたいね。そもそも認識という言葉の使い方が正しいかわからん。認知のほうがいいのか?

 

で、自分の問題です。今私は視覚ばっかり使った生活をしているので、ものを見る力が衰えている。視覚にしか頼らない見かたしかできていない。他の感覚を取り戻すためには、社会復帰が望まれるということなんでしょうか。正しいか正しくないかは置いといて、自分の疑問に自分で答えが出せたのでとっても満足しました。あと、フラストレーションの解消にもなったのでよかったです。文章が長くなったので、見直すのがめんどくさくなりました。